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貴女をお守りします。ずっと、傍で……
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異世界は無理だけど、正面突破って、案外簡単に出来るんだよ。

さぁさぁ――











 
 
 周りが段々騒がしくなってきました……
 私とレン君は、お婆さんに言われた通りに真直ぐに来て、右側を曲がろうとしている所で、いっぱい人がいまして……今は動けません。後ろ側はレン君が見ていてくれているので、私は前を見ています。
 でもこれじゃあいけませんよ。うう、人見さん、大丈夫でしょうか……? 心配です……
 扉は開く気配も無く、全く動きません。さっき、一人のお爺さんが扉の向こう側に入って行くのを見ましたけど、それ以降は全く動きません。只、周りの人は忙しなく動いています。
「どうしましょう? レン君、此処から動く方法、あります?」
「……えーと……そもそもこの建物の中に余り入った事が無くて……ごめんなさい」
 そういえばそうでしたね。レン君は人見さんが家出してから出会って、一度だけ来た事があるって、さっき言っていましたね。
 ――って事は、レン君の意見を聞いてこの場を切り抜ける事は出来ないって事ですね。……こんな時に、マスターが居れば……
 ううん、駄目です! 此処は今私がおねーちゃんなんですっ。私が何とかしないといけないです!
 ……って、言っても、本当にどうしたら良いのか解りません……。どうしましょう、本当に解らないです、この状況を打破する方法が……
 やっぱり、正面突破でしょうか? この際、もうこのまま突っ込んだ方が良い様な気がします。喩え気付かれない様にあの中に入ったとしても、結局見付かっちゃうんですよね? ……ですよね……じゃあ、正面突破でも良い様な気がします。
「ほ、本当に正面から行くんですか……おねーちゃん……」
「でも他に方法がありませんし、マスターなら多分そうすると思います」
「お、おにーちゃんが、ですか?」
 レン君は心配そうに辺りを眺めて、扉を最後に見て下を向く。
 大丈夫です。多分大丈夫だと思います。さっきも思った様に、多分何らかの方法で気付かれずに入っても、中に人見さんのお父さんとお母さんが居るって事は、結局見付かっちゃうと思うので……
「それに、あの扉を出れただけで充分だと思います。お婆さんのお陰で、あの見張りの人に見付からずに出る事が出来ましたし」
 あの人達に見付かったら、直ぐに部屋に戻されちゃうので。でも此処まで来たらもう大丈夫だと思いますし。
 勿論、これは私の感覚ですし……レン君は他に何かありますか?
 私が問うと、レン君は後ろ側を見張りながら、何か考えたみたいにうーん、と唸っています。でもやっぱり思い付かないみたいです。
「……解りました……多分、マスター・ヒトミも、オルトソードを使ってくれると思いますし……」
 そうですね。――じゃあ……行きましょう!
 
 
          ×          ×
 
 
「だぁあああああああああああああああッ!!」
「待てッ! 変質者――――ッ!」
 んな、待てっつって待つ馬鹿が存在しているかぁっ! お前らに捕まったら本当にそれこそ社会的に終わりだっつーのっ!
 それよかなんでこんな時にお決まりの事をしちまうかなぁオレは! 覗いちまった窓の向こう側が本当に女の子の着替えのシーンなんて、王道過ぎて仕方が無いわ! ええい、くそう! リン、大丈夫か!?
 オレの隣で一緒に走っているリンは、はぁはぁ、と肩を上下させて走っている。
 やべぇ……これじゃ拙い。途中でリンが落ちる……
「――っ、くしょーっ!」
 リンを抱かかえて、横に転がると、茂みに入る。こんなところ、直ぐに見付かっちまうけど、時刻的に暗いしな、難しい筈なんだけどな。あの監視カメラが暗視カメラだったら……
「見つけたぞっ!」
 暗視カメラでしたっ!
 オレはリンを連れて庭に飛び出ると、走――って無理ッ! オレはアニメとか漫画のキャラクターじゃねーんだよ! 女の子抱えて走れるか!
「リン! 頼む、もう少し走ってくれ!」
「う……うん……っ」
 悪い! おにーちゃん情けなくて! そんな事を内心で呟きながら、オレはリンの手を取って庭を走り抜ける。
 このまま敷地外に出ても駄目だろうな。――でも、隠れる所は外の方が良いだろっ! くそうっ!
 入り口を目掛けて進路を変更する。その先に存在しているのは、鉄骨子の出口。そもそも、入って来た時は塀だったからなぁっ。どうやって出るか……
 こうなるんだったら黒田刑事の言う事をちゃんと守っていればよかったぜ……っ!
 んな事考えても後の祭だけどな! くそ。腕を回して、肩をほぐす。何かやってないと落ち着かない!
 ――って、そうしている内に、入り口が見えて来て――よっしゃあ、もう少し……って、無理だ! 閉まってる! 当たり前だけど!
「――ってのに……オルトソードはでねーのかよ……っ!」
 此処まで出ないと、本当に前までの活躍が馬鹿みたいじゃねーか! リン一人守れねーんだぞコンニャローっ!
 こうなったら、マジで正面突破かぁ……? このまま一気にあの建物の中に入って、人見さんの両親でも人質に取れば……おっしゃあ! それで行くかぁっ!?
「リン! 正面突破するぞっ!」
「え……ええーーーーーーーっ! 良いの!? だって気付かれない様に入って、気付かれない様に……――」
「此処まで来るともうどうでも良いわっ!」
 全くだ。もう見付かってるしな。此処まで来ると見付かってるなら一気に突入した方が良い。
 
 ――つまり……
 
『正面突破だッ!』
 
 後から気付いた話だけど、オレとミクが突入したのはどうやら同時だったらしい……
 
     ■■■
 
 轟、と音を立てて、車を端に止めると、雄介の考えていた通り、桐島家は凄まじい事になっていた。
 ――止まっていろ……。自らがあの少年に掛けた言葉はそれであった。自らがこの場所に辿り着くまで何があっても突入するな――その後の事が面倒になるからそう止めておいた、ストッパーを掛けておいた。
 その際に約束の証として、少年の好きなカードゲームのBOXを二つも買う羽目になったのであるが……しかし、矢張り不可能だったらしい。
「――ったく……この買ったBOXはどうすりゃいーんだよ……」
 微笑しながら、雄介はポケットに手を入れてそう呟く。
 既に、桐島家の周りには近所の人間が集って来ており、何かしら話をしている様に見える。肝心の家の中の様子は、様々な使用人、そして住み込みの人間、中には下着姿の美女が突然の侵入者に戸惑っているのであろう。
 つまり、彼らはまだ捕まっていないと考えても問題は無いのであろう。こういう時、警察と云う立場は助かる。
 後ろに居る赤城洋一も、既にポケットの中に存在している携帯電話を取り出し本部に連絡を取っているのであろう。となると、その人間達が来る前に、急いであの少年少女を救出する必要性があるのであろう。
 警察手帳を見せて、敷地内に雄介と洋一は敷地内に入る。火事などが起こっている訳ではなく、只、全ての部屋の電灯が、外で見る限りには点灯されており、何やら多くの人間が人を探している様である。
 派手にやったな。舌打ちして家の中に入ると、相変わらず中も凄まじい事になっている。
「お前の知り合いはこんな派手な事をするのか……?」
「まぁ……事と事情によれば……やるんじゃないんですかね――?」
 問い掛けられた言葉を、その様な言葉で返した刹那――
 
 爆破音が、奥の部屋から響いた。
 
 
                    to be continued......




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