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貴女をお守りします。ずっと、傍で……
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明日にはハヤテとか、別のボカロ小説書くからさ。


今日はこれで我慢して?










 
 ぴぴぴ………………………
 耳に手を当てると、そこに情報が流れ込んで来る事を感じる。私達ボーカロイドは、言った通り、アンドロイドの一種です。ですから、ボーカロイド同士は情報を常に交換する事が出来ますし、情報のやり取りも出来ます。
 今、その情報が入って来ました。勿論、ニュースとか、時刻とかの報告もありますけど、基本それは無視します。私は、私が必要な情報だけを保存して、後はデリートしてしまいます。
 ――今入って来た情報は、レン君からです。戻って来て欲しい……ですか? 解りました、では一旦家の方に戻る事にします。私はそう連絡を送って、足の進路方向を自分の――いえ、私達の家に向けます。
 私達の家は、住宅街に存在している大きな豪邸です。私、巡音ルカ――そして初音ミクちゃん、鏡音リンちゃん、レン君、そしてMEIKOお姉様とKAITOお兄様の六人で住んでいます。勿論、お仕事優先ですので、皆さんが一斉に顔を合わせる事は殆どありません。ですから、先程の様に、お仕事の帰りの、休憩時間や、オフの時間にあの様な場所で会います。
 私達ボーカロイドは基本、歌うだけではなくて、人間としての心を持っています。感情の無いロボットに、歌は歌えないと云う、開発者さん達の意図だと聞いています。リアルを追求した結果、食事なども摂ります。――摂取した食料は体の中で燃焼して、エネルギーに変換します。
 無論、排出物なども出ますので――その、お手洗いも……行きます。
 ですので、私達はその辺りのリアルを追求した結果完成したボーカロイドです。他のボーカロイドの姉妹達と暮らすと云う事になりました。最初の頃は、MEIKOお姉様とKAITOお兄様だけだったそうです。そう聞いています。
 ……辺りを見渡すと、多くの人が私の顔を見て携帯の写真機能を向けて、ぱしゃりとフラッシュが輝きます。それに手を振って、私は答えます。私が歌を歌えるのも、ファンの皆さんが居るからです。本物の人間の声じゃないですけど……プログラムから作られた偽物の声ですけど……それでも、好きだと言ってくれるから……
 ファンの皆さんに手をもう一度、小さく振って、その場を後にする。
 
 
 
「言わなくて、んぐ、良かったのかい?」
 隣で食事をするKAITOの言葉に、MEIKOは、ん、と返した。この様な時には有耶無耶のまま会わせるよりも、感情がはっきりしている中で会わせる方が打倒である。それがどちらにとっても余り宜しくない選択だったとしても、この後の事を考えると最善の方法だ。
 それを解っているのであるが、矢張り、この青年はどうにも甘い様である――酒を一口飲みながら、そう思考する。当の本人は微笑したまま、食事を続ける。
 ……ルカがこの場から姿を消して一分弱、直ぐにでも、先程まで彼女が座って居た席に別の少女が腰を下ろす。すると目の前にあるジュースを口に運び、ひと息吐く。ルカが居た先程まで、彼女に見付からない様に隠れていたのである――実際は、隣の席の影に隠れていたのである。
 横目で少女の様子を眺めていたMEIKOは、少し眉を潜めてから、酒を呷った。
「――で、まだ駄目なワケ――? リン?」
 そう、今二人の目の前に居る少女こそが、今レンとルカが探している少女――リンなのである。
 ――彼女が収録中の二人の元に来たのは二日前の話である。丁度、一仕事終えていたリンとレンは、一週間程の休みがあった為にこの場所に来られたのであろうと、二人は思考していたのである。加えて、MEIKOはボーカロイド一同のマネージャーも兼ねているのである。そのMEIKOの元に来る事は別段不思議ではない。
 が、二人のその考えは見事に、最初の一言で打ち砕かれる事になるのである。まさかの言葉に、一瞬でも頭の中がクエッションマークで埋め尽くされた。
 その内容と云うモノが以下の通りである。
『――レンが最近ルカと仲が良過ぎる。まさか、二人は……っ!』
 突然の言葉に苦笑を通り越して、呆れたほどであったが、余りにも真剣な顔をしてその様な事を言った為に、呆れるに呆れられず、笑うに笑えなかったのである。そもそもその様な事、有り得る筈も無い、と言い返そうとしたのであるが、それも喉の辺りで止まってしまった。
 咳払いを一つして、先ずは話を聞く事から始め様と思ったのである。
 
「……えーと……リン? ルカがレンと? まさか!」
 会話はそのKAITOの否定の一言から始まった。兎に角、暗い雰囲気が嫌だったのであろう、明るい、軽い言葉で入る事を彼は選んだ。
 無論、その作戦は見事に失敗した。逆に怒りを買う羽目になった。
「解んないもん! 私見てるもん! ――レンとルカが楽しそうに話してるの!」
「いや、それぐらいは僕もするけど……」
「他にも、楽しそうに手を繋いでいたの……見たもん……」
 盲目だ。――様々な事柄には、度を過ぎると盲目だと言われるのであるが、リンはその典型的な例であろう。だから先程ルカ自身と会う事をやめさせたのである。確実に、炎上するであろう――しかも一方的にリンが押し付ける様な形で。
 頭を掻いて、理解出来ないとばかりに、MEIKOと交代する。この様な事柄は同じ女性であるMEIKOに代わるのが得策だと思ったからである。
「……そう云うのはねー、本人に直接訊きゃー良いのよ」
 凄まじく、一直線な答えであった。
 しかし、常日頃から、昔は相当の彼氏が居たと嘘を吹き込んでいるMEIKOの言葉を信じているリンには絶大な言葉であり、そうする事にしたのであるが……
 
 ――現在に至る。
 今の所、今度はそのタイミングを逃していると言える。
「……でも、訊くなら今日よね……。だって、レンもルカも居るもん……」
 気持ちの整理以前に、その様な事を考えているのである。――だから、気持ちの整理が着かなければ言っても意味が無いと言っているのであるが、どうやら真の意味で理解はしていない様子である。全く、人の言葉を聞かない妹である――MEIKOは溜息を吐く。
 全くもって、その様な感情に疎いKAITOに関しては、一心不乱に、目の前に出されている食事を口に運んでいる。一体、誰がこの食事の代金を払うのか……
「よし――私、行って来るよ!」
 そんな中、突然決めたのである。今まで悩んで行かなかったのは本当になんだったのかが解らない程の即決である。更に溜息を吐く。ならば何故最初から自ら達に相談しに来たのか、解らない。決められるのであれば、自らで決める事が出来るのであれば、何故最初からそうしなかったのか。
「……まぁ、良いわ。最近私も家に戻ってないし――ついでだから、一緒に行きましょ。
 ね、KAITO?」
「ひゃ? ねーひゃん?」
「……口の中の物、全部飲んでから喋りなさい……」
 

                    </-to be continued-/>


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