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貴女をお守りします。ずっと、傍で……
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扉を開けて、うわー、となる事は良くある事です。

うむぅ……でもそんな事があっても良いと思います。











 
 
 ……さむ……
「――六月なのになぁ……ちょっとぐらい暑くても良いってのに……」
 まぁそんな事を季節はお構いなしで、オレとリンに冷気を送っている。夏になる前のサービスサービスぅ、とばかりに、冷たい空気だけを送り続ける。
 ったく、殺す気か。しかしでもまぁ本当に今日が冬じゃなくて良かったわ。これで冬だったら本当に死んでると思う。まさか六月にあったか~いの缶コーヒーを二杯も飲む事になるとは思わなかったけどな……しかし、あのあったか~い、とつめた~いはどうして〝~〟が着くんだろうな……疑問だぜ。
「ねぇ、おにーちゃん、まだ駄目なの?」
 隣ではもう待ちきれないのか、まるで犯罪者が立てこもっていて、突入を待ちわびているSWATかSITかの様に構えているリンが居る。まぁ、一応、誘拐犯は居るわな、うん。
 しっかし、黒田刑事はまだかぁ!? もう一時間ぐらいになるぞ! ……それに、そんなに人は連れて来られないとか言ってたからな、その収集に時間が掛かっているとか!?
「もうちょっと待ってくれよ……もう少しで黒田刑事が来てくれるから……」
「おにーちゃん、もう十七回同じ事言ったー」
 ぶー、ぶー、とブーイングをするリン。んな事言ったってなぁ……そればっかりはオレにはどうしようもないっつーか……文句は遅れている黒田刑事に言ってくれ。相変わらず、オルトソードは使えねーし、使えたら突入してやっても良かったんだけどな。
 つか、本当にどうしてオルトソードは出ねーんだ?
 手の平をぐー、ぱー、ぐー、ぱー、と色々とやっても何も起きない。腕を振るっても、何時もの動きをしても、オルトソードはまったく出て来る気配が無い。オルトソード――何処――? 何処行っちまったんだ? てかこれって失くす事ってあんのか? ミクの話だと、未来の警官とかが持ってる有り触れたヤツらしいけどなぁ……
 くそったれ! もうオレの我慢も限界だぁ……
「リン……もう、行くぞ……」
「え? 何処に?」
「突入すんだよ」
「……うんっ!」
 ――さぁて……ボスはどいつだこんにゃろー……全国ネットで生中継されても知るか。日本の中心(っぽい所)でミクへの愛を叫んでやるぜぇ……
 と、暴走を始めようとしているオレの服の裾をリンが引っ張る。
「でも、どうやって入るの? インターフォン押すの?」
 莫迦言えー、そんな事したら見付かっちまうからなぁ、此処はこっそりと……
「……」
 こっそりと――こっそりと――って、何処からこっそり入れば良いんだよ! 見る限り、奥の方に強面のおっさんがうじゃうじゃしてるし、それに監視カメラがウィウィ動いてるし……おいおい、突入するって言ったけど、気付かれずに行くのって無理ぢゃね?
「おにーちゃん……」
 あー、だからそんな泣きそうな顔をするな! 萌え死ぬだろーがッ!
 さて真面目に如何したものか。流石にこれ以上待つ事はオレには出来ねー、だから黒田刑事の意見に逆らってまでも侵入しようとしているんだがなぁ……此処までガチガチだと入れねーな。せめて目の前のおっさん達が居なくなれば良いだけどな。監視カメラはまぁ仕方ないとして、運良く中でトラブルが起きて全員戻ってったー、と云う展開をオレは望む。
 ……そんな事を考えた時に……ん? 何か騒がしいなぁ……
「お、マジで?」
 実はオルトソード、出現しているんじゃないかと思うほどの展開だ。無論、ねーけどね。目の前のおっさん達が慌てて後ろに戻って行く。
「リン、チャンスだぜ」
「うん!」
 よっこらせっと……
 オレとリンは、巨大な柵を越えて、走り抜ける。まぁこのただっ広い庭に行く事にしますか。流石に正面突破でイセカイ界トォォォタル的展開は拙い。――うん、この戦いが終わったら、オレ、バトスピのカードを箱買いするんだ……。なんと云う死亡フラグ……
 庭に入ると、漫画とかで出て来る犬とかそう云う展開は全く無く、自然とそのまま入ってしまう事に成功した。うむ、もう監視カメラとかもうどうでも良い。
 さぁて、リン、解かるか? レンの場所。聞いた話だと、少しなら機能するんだろ、その共鳴反応的な、こう、きゅぴーん、とか云う感じの。
 そう言うと、リンは頭に手を当てて目を瞑った。交信のポーズ……?
「……駄目だよぉ。此の辺、電波がぎゅんぎゅんってなってる……」
 成る程、そのぎゅんぎゅんさんが邪魔してるのか、コノヤロー。――っつー、事は、つまり、片っ端から部屋を探してくっきゃねーな。祈るのは、扉開けたらキャーっ、ってならない事を祈るだけです、はい。
 取り敢えず、都合良く目の前に存在しているこの部屋の窓を覗いて見る事にしよう。この向こう側に存在しているのは何なのか……レッツ、トライッ!
「にゃああああーっ!」
「ごめんなさーいッ!」
 だっしゅで逃げろッ! リン、逃げるぞっ! ダッシュだッ! Bダッシュだっ!
「え? え?」
 困惑するリンを率いて、オレは庭の中を逃げ回る。
 
     ■■■
 
 黒田雄介は住宅街の中を車で移動していた。結局、自らに賛同する様な人間は居ないと考え、加えてその様な事を話せば確実に上司に知らされる訳であり、家に帰ると称して、一人で車の中に乗り込んだのであるが……
 今、この車内には、一人の男が後ろに乗り込んでいた。眼鏡を掛け、暗闇の中で本を読む姿は、中々に様になっている。
「……何で一緒に来ているんでしょうかねぇ、赤城刑事」
 耐え切れなくなり、雄介は冷や汗を流しながら、自らよりもキャリアで勝っているその男に言葉を投げ掛けた。一方の、言葉を投げ掛けられた刑事、赤城洋一は、眼鏡を上げて、本を仕舞うと、背中を車のシートに預けた。無言のままである。
 何も答えない洋一に対して、更に気味悪さを感じながら、次の言葉を探す。
「えーと……俺がこれから何処に、何をしに行くか解っていますかねぇ?」
 それに対しては、ああ、と短い言葉を投げた。
「上の命令を無視して、桐島家に乗り込む。何を目的にしているかは解かりかねるがな」
 ……この、鉄の仮面を被り、警察に絶対の忠誠を誓っている男が、そこまで解かっていながら、良くついて来たな、と雄介は頭を掻く。因みにこの男が着いて来た事により、色々と面倒な事になり、時間が掛かってしまった事は事実である。
 あの少年の事である、我慢の限界が来ていると思っているのであるが……そうなれば、今回の事は明るみに出るであろう。その際はもう覚悟を決めるしか無い。警備会社か何かにでも就職する事になりそうである――今切に、独り身であった事に感謝をする。
 だが後ろに存在している男はどうなるのか。彼の娘はこれからが資金が掛かると云うのに――解かって着いて来ていると云う事は、それなりの覚悟があると云う事なのか。
「……降りねぇと、クビになるかもしれんぞぉ」
 それに対しては全くの無言であった。全く、一体何を考えているのか……
「――私はね……」
「――?」
「私は、良い父親なのであろうか?」
 ……突然何を話し始めたかと思ったが、何やら、自らが父親に相応しいかどうかと云う事を話し始めたのである。
「そんなもん……俺が知るわけないじゃないですか。結婚だってしてないんだからな」
「――そうだったな。
 いや、今回の事件で探していた時に思ったんだが……自らは全て、上の人間に命令通りに動いて来た。犯人を捕まえ、マニュアル通りにやって来た。全ては、警察の為に、だ。
 だが思った、私は仕事の事ばかり気になって、自らの娘に対しては何もしてやれなかったのではないのだろうか、と云う事だ」
 ――それはジレンマ。家族を養う為には仕事をし、金銭を稼ぐしか無いのである。だが、その仕事をすればする程、家に戻る事は、家への事柄は少なくなって来る。只、金銭のみを与えていくと云う事柄に変わっていくのである。
 家は只、自らが休む為にある、無料のホテルの様なもの。そこには、ロビーの女性の変わりに、食事、そして整備を全て一人でやっている妻が存在しており、場合によっては、その娘が手伝いをしているのである。
 良くある話である。家族を思う余りに仕事に打ち込み過ぎ、過程が崩壊して離婚とは、良くある事なのである。特に警察の刑事と云う職柄はそれに尤も当てはまる職種でもある。
 頭を再び掻く。さて、この様な時は一体どの様な言葉を返せば良いのか……そもそも、それは着いて来る理由になっていないのではないのだろうか?
「……私は、あの桐島人見と云う人物がどの様な人物かを知っている。自らの親に振り回され、自分の道を見出せない人物だ」
 その言葉を聞いて、ああ、と納得をする。
「そういえば、赤城刑事も、七光りでしたね」
 軽く侮辱する様な言い方であるが、確かである。この赤城洋一と云う人間の父親である、赤城正一はこの警察の相当の地位に存在している人物である。現在こそは一線を退いているが、それでもその権力は今でも健在である。その息子がトップクラスでの成績を叩き出しているのである……さぞかし鼻が高いであろう。
「私も幼き日より、警察官と云う地位の父親の跡を継ぐ事を周りから望まれていた。自らの意志は関係なく、漠然と、そうなるのだろうと私は半分諦めていた。
 だが彼女は――桐島人見はそれを出来ず、諦めずに、自らの道を行こうとしている。……感情移入しすぎか……」
 警察の鉄則――刑事は私情を挟んではいけない。
「……まぁ……感情移入し過ぎだな。普通の刑事だったらそんな事はしないな、上の事ばかり考えている。それに、よくもまぁ、そんな事で此処まで来るな」
「それはキミも同じだろう? 何故、此処まで拘る。それに、ちょくちょく部外者に情報をリークしていた様だしな」
 気付いていたか、雄介は一つ溜息を吐く。さて、これは本当に飛ばされかねない、と真剣に悩み始めながらも、今は、目の前に存在している事柄を解決する為に、アクセルを踏む。
 

                    to be continued......
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