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貴女をお守りします。ずっと、傍で……
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今日も再掲載の話。


後数回は再掲載の日が続くので、一気にやりたいと思います。



何度も言う様ですが、ボカロ小説です。





 
 
 寝心地は最高だったといえる。何せオレは夜中に起きる事無く、朝こうしてすっきりとした気分で起きている。
 だが……オレの目の前の状況はどういう事か……
 
 あろうことか、フィギュアのミクが動いていると言う。
 
 別に何をするわけでもない。只、オレの視線の先で正座をして、時折首を動かしては、うん、と頷いている。はて、これはどう言う事か……てか、どういう原理かシステムか……最近の日本の技術は凄いね。うん。
「貴方の名前は?」
 数分経ったその時、ミクは漸く口を開いた。……意外に、あのヴォーカロイドの声とは違って、普通の女の子の声だ。でもまぁ、着ている服とか、ツインテールとか、声以外は殆ど初音ミクと変わらない。ネギは持ってないけどね。
「貴方の名前は……なんですか?」
 二回目のミクの問いで、オレは漸く覚醒した。……取り敢えず、名前を聞いているので答えておこう。もしかしたら、お礼とかくれるのかもしれないと、淡い期待を抱いてオレは自分の名前を答えた。
「……エンドウ、ミオ?」
「そ、遠藤観光。当て字にも程がある名前で、女の子みたいな名前」
 本当にこの名前を変えたいんだけど……まぁ折角親が付けてくれた名前だから仕方がない。
 ミクは何やら頭に人差し指を当てながら呟いている。……インプット?
「はい、覚えました。マスター・ミオ。
 今日から私、ナンバー09180324である私がおつかえいたします」
 ……えーと……これはどういう展開でしょうか?
「ですから……あの、状況を把握していますか? マスター」
 いえ、全く。
「……私の名前はナンバー09180324。ヒダカ社製の支援型アンドロイドです」
 ……アンド、ロイド?
 まてまて、それはどこの同人誌だ? ボカロの同人誌にその様な設定は多いけど、それを現実でやるって……不可能だろう。大体、アンドロイドって言ったって、そんなにアンドロイドに見えないし、人間じゃ……
「違います。私はアンドロイドです、マスター。ナンバー……」
「ああ! 良い! その長ったらしい名前は良い!」
「そうですか……」
 首を傾げるミク。おかしいだろ。幾ら日本と雖も、最近漸く体の一部がサイボーグになれるのが限界だぞ。それが突然こんな人間の知能を持っている様なロボットを作れる筈がないだろ! せめてその……アンドロイド? ロボット? だと云う事を証明してもらわないと。
「解りました。……はっ」
 すると、突然、包丁を取り出してそれで腕を軽く撫でるように切る。
「おい! 何をっ……」
 と、そこで止まった。……血が流れない。
「嘘だろ、おい」
「解っていただけましたか? マスター。私はアンドロイドです。……ですけど、今の時代に、アンドロイドを知らない人間がいるとは思っていませんでした」
 いやいや、そんな莫迦な。
「兎に角、今の日付を入力しなくてはいけません。日付の入力が終了しますと、時計の方も入力しなくてはいけません。……何時もなら電波をキャッチ出来るのですけど……申し訳ありませんが今はそれが出来ません。私の製造された記憶と、体内時計の感覚で推測します。
 聞きます。マスター、今日は二一八五年六月七日でしょうか?」
 ……バグが発生しているのかね、申し訳ないけど、今日は二〇〇九年の六月七日だよ。単位が幾つか大きすぎると思うよー。
 そう言うとミクはおかしい、と云った顔をして、再び計算を始めたのか、目を瞑った。
「いえ、私の体内時計が正しければ、私が製造されてから一四日経っております。おかしいですね……二〇〇九年……」
 おかしいね。本当に。
「兎に角、マスター。インターネット端末を貸していただきます」
「はいよ」
 ……ミクは目を瞑ったまま動かない。何しているんだ?
「おかしいです。パーソナルネットは愚か、CPPUにすら繋がりません」
 CPPU? Pが一つ多いような気がするが。
「? いえ、CPPUです。集合個人プログラム宇宙。それこそ、CPPUです。全ての端末はつながり、どのような場所でも、自らのプログラムを展開する事が出来る筈です」
 言っている意味が良く解らない。つまり……オレの脳で考えると、君の考えではこう、こんなノートパソコンなんてなくても、道端とかで普通にインターネットが歩きながら、携帯電話感覚で出来ると?
「はい。……そんな時代遅れの端末を、良く持っていますね」
 時代遅れって……これ、最新式のノートパソコンなんだけど……
「兎に角、今は非常事態ですので、その端末を使用させていただきます」
 そう言って、ミクは手の平をパソコンに向ける。……何が起こるか楽しみにしてみていたけど……直ぐに解った。
「うおっ!」
 我ながら妙な言葉を発したと思う。
 でも仕方がないと、今回ばかりは自分に同情をしよう。――目の前で行なわれている行動に、オレは目を点にせざるを得ない。
 パソコンは触れても居ないのに膨大な情報をモニターに写し、そして様々なインターネットの情報を片っ端から……つか電流みたいのが走って……っ! それがミクに流れていく!?
 ちょっ! これ聞いてない! こんなの……有り得ない。てか、なんかゲームとか、アニメとかでよく見る、人の周りにモニターみたいのが浮かんできて、それに文字やらデータやらが……
 オレが全部把握する前に、その全てが終った。秒で考えるならそれは本当に一五秒ほどだったんだろうな。一分も立っていないのは、腰が抜けて座り込んだ床に置いてある電波時計が物語っている。
 全ての中心に居たミクは目を薄らと開き、そしてオレはその姿に見とれていた。後ろではパソコンがオーバーロードで何か煙を上げている。……ああ、今日行くのは携帯ショップだけじゃなさそうだな。
「データの同調完了です。マスター」
「おまっ! オレのパソコン、幾つものセキュリティを……」
「? セキュリティ? あの低レベルな防壁の事でしょうか? あの程度でしたら解除に0.0000000000000000000000000001秒も掛かりません」
 有り得ん。これ、もしかしてミクだけでこの世界のセキュリティ全て破れるんじゃないんだろうか……
「この程度が世界のセキュリティなら……まぁ、なんとか。でも、コレくらいの能力、量産差されている他の私には初期設定での能力ですが……」
 恐るべし、未来。まだ信じたわけじゃないけど、未来凄い。つまり未来にはもっと優れたセキュリティがある訳か……
「同調により、この世界が二〇〇九年六月七日だと認識しました。……残念ながら、私はどうやら時間歩行をして来たようです」
 ……うわーさらっと凄いこと言っちゃったよ。ミク、君おかしい。
「? 私はミクなどと云う名前ではありません」
「じゃああの長い番号が君の名前か?」
「はい。……未来世界……と此方では言った方がいいでしょうか。私達は全て番号で呼ばれています」
 ……酷い話だな。意思のあるロボットとかアンドロイドをモノ扱いかよ。モノには魂が宿るんだぞ。
「仕方ありません。全てが全て同じ顔をしているのです。その後のカスタマイズは自由ですが、名前を一つずつに付ける事は不可能ですし」
 そうだよな。何千、何万体と君が居るわけだからな。
「はい。……しかし、此処が過去の世界なら……私は唯一つのアンドロイドと云う事でしょうか?」
 そうなるな。
「そうですか……」
 それより、君を制作したのは誰なのかね。なんで態々初音ミクにするかな。
「ですから……その初音ミクとは何でしょうか?」
 パソコンのデータ……てかインターネットで情報を同調したのに何故解らんのか。――まぁいいや、教えてやるか。オレはパソコンの電源を入れる。ほ、幸いデータはイっていない。何とか動くな。
 適当に公式サイトを開いて適当に説明する。
「……そうですか。ヴォーカロイド……成る程、そういうことですか」
 何か良く解らないが納得したらしい。
「私がこのヴィジュアルなのは、どうやらコレを元にしたらしいです。マスターからの情報で、一つの蓄積データの中から答えを導き出せました。
 ――どうやら、私達を作り出した始めての人は、このヴォーカロイドと云うモノを元にして、同人誌と呼ばれる一種のサブカルチャー的な中に出てくる実物大の「初音ミク」と云うヴォーカロイドを作ったようです」
 ……えーと、つまりは、実物大のヴォーカロイドを作ったって訳?
「そうですね。元々、意思を持った音楽作曲アンドロイドの様ですね」
 それにしたって精巧に作りすぎだろう。完全に細部まで作られているじゃないか。……胸の柔らかさとか、目とか、鼻とか、色々と。唾液とかそういうのもあるみたいだ。
「それは私にも解りかねます。
 兎に角、その後、極度の高齢化社会が訪れたそうでして、このヴォーカロイドを改修して、お手伝いロボットとして売り出したのが最初のようですね」
 ドラ●もんか。
「そうして、様々な肯定を経て、今私が居るわけです。ヒダカ社開発のナンバー09180324。それが私です」
 ……うーむ。飲み込めたような、飲み込めないような……でもまぁ、君がアンドロイドで、人間じゃなくて、常識じゃ考えられないような能力を持っている事は理解した。
「ヒダカ社――ねぇ」
 ためしに検索してみるか。
 オレはコンピュータをそのままに、G●ogleで検索してみる。ヒダカ社、ヒダカ社――。
 確かに、ヒダカ社と云うモノは存在していた。特殊素材研究社? まぁ兎に角新素材を探求している会社みたいだ。良く解らないけど、この会社が近い将来このヴォーカロイドを開発するらしい。
 確認の為に、ミクにもそのヒダカ社のマークを見せてもらうか。
「はい」
 っと――突然何をしでかすんですか! 何で脱ぐんですか!
「私達のシリアルナンバーは、服の下――つまり太股の部分に印刷されています。見せるには、服を脱ぐしか他ありません」
「たくし上げるとか! そういう考えは無いのですか!?」
「……」
 そうでした、と呟き、踏みとどまったのか漸く服を着なおしてくれた。そして、恥ずかしそうに、スカートを上げてシリアルを見せる。服を脱ぐ時は恥ずかしがらなかったくせに、スカートを上げるときはどうして恥ずかしがる。
「……あの……早くしてください。その、恥ずかしくて……」
「あー、ごめんごめん」
 そうして漸く見つけた。確かに、太股の裏側辺りにそれはあった。英語でHIDAKAと書いてあって、ロゴが描いてあった。それは、今オレのパソコンのモニターに映っているマークと同じだ。
 ――……漸く事態が解ってきたと云うかなんと云うか。
 つまり、君は何かの原因で未来世界からこの君達で言う過去の世界に来ちゃった訳か。
「その様ですね。……時間旅行は確かに出来るレベルですけど、歩行には大量の電力と電波により行使されます。故にコストもありますので、最近では規制されているんですけど……」
 ……強力な電波か……つまりあの時携帯電話が繋がらなくなったり、突然電源が落ちたりしたのも、全てそれが原因か。
「はい、落ちるタイミングの電波、電力エネルギーは伊達ではありません。周囲の電化製品に何かしらの影響があったかと……。勿論、この世界で考える未来世界では余りその様な事はありません」
 成る程ね。ニュアンス的には磁石を電化製品に近づけるのに近いのか。取り敢えず、どちらにしろこの携帯電話も修理に出さないといけないのか。
「すみません、マスター」
 いや別にそこまでは……お金は拙いけどね。
 それより、マスターって呼びにくくない?
「いえ、私には一番楽なんですけど……変ですか?」
 いや、こっちが馴れていないだけ。そんな秋葉原のメイドカフェじゃあるまいし、そんな御主人様扱いされるの、こっちは初めてだから。
「そうですか……」
「オレ的には、その、シリアルナンバーで呼ぶのが大変なんだけどね」
「なら、マスターの呼びやすいように……ああ、あの時に言った、初音ミク。これが私には良いかもしれません」
 でも、初音ミクです、なんて言えないしな。せめて苗字を何とかしないと……
「よければ、オレの苗字……使う?」
「――っ。それは……あの……ちょっと」
 顔を真っ赤にして辺りを見渡すミク。……すみません、可愛いです。
「……なら仕方ない。ヒダカ社だからな、日高にするか?」
 そうした方がいいのならいいけどな。
「――いえ、私、マスターの苗字……その、貰います」
 そうですか、そうだよね。……って、ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッッ!!
 ちょちょちょちょちょちょ! ミクさん!? それはその……
「はい、今日から私の名前は遠藤ミクです。よろしくお願いします、マスター」
 ……これ、なんてギャルゲー展開……。本当にいいのですかい?
「はい。マスター」
 マジですか。OK冷静になれ。取り敢えず、話題を変えよう。
「と、兎に角、そのマスターっての変えよう。そのままで街に出たら変な目で見られるからな」
 そう言うとミクは少し考えて。
「なら、ミオ様と呼びます。若しくは、ミオ君、ミオさん、ミオ。どれが宜しいでしょうか」
 ……すみません、選べません。
「なら、ミオ様と呼びます。若しくはマスター・ミオと。偶に間違えてマスターと呼ぶかもしれませんが……その辺りはご了承ください」
 ……取り敢えず、オレは頭を冷静にする為に、携帯電話の修理に出掛ける事にした。
 
 
                              to be continued......



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